2013年11月27日水曜日

耳屋の豆腐


近ごろ、耳鳴りがする。

風邪をひいて、鼻をかみすぎた所為かも知れない。もしくは、人の話を懸命に聞かなくなったからかも知れない。

一番よく聞こえるのは就寝前の静かな部屋の中だが、これがなんとも可笑しな耳鳴りなのだ。「キーン」とか「ジーン」ではなくて、

「ピーィ   プーゥ」なのだ。あの、豆腐屋さんが吹いてる、「ピーィ   プーゥ」なのだ。たまに、リズムが狂って「ピプッ! ピーィ  プーゥ」という。

生き物みたいだなぁ…と眠たい私は思う。「ピプ」は、寝るまでずっと私に子守唄を聞かせてるみたい。ゆっくりと、右耳だけに子守唄。

幼少期おばあちゃんの家に行くと、座る度に鳴る子供用の椅子があって、あれと同じだ、とふと思う。幼いながらにあの音が恥ずかしくて、ゆーっくり座ったり立ったりしてみたが、結局広範囲に「ピーィ   プーゥ…」の音だけが虚しく響くのであった。「ペキョペキョ」鳴るあの靴も同じだ。

日中、電車や街の中では「ピプ」は鳴らない。期待すると返事をしない。むしろ耳が喋ってるくらいだから、私が話かけるなんて事しない方が妥当な気もしてくる。

冬の始めに、いい友達がでけた。

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