2013年6月29日土曜日

考えるアザラシ



溺れたら死んじゃうんだよ

と云った人がありましたが
私はなんとなく、そう思いません

溺れたら、沈むんでしょうか
泳いだら、浮くんでしょうか

夏といえば、プールです
大嫌いで楽しみなプール

私は25m泳げません
泳ぎ方がわからなくて
ジタバタして心も体も沈みます

だけど、いつだったか
息を止めて、動かずにいれば
身体が浮くことを知りました

うふふ、なんだか楽しいわ

たまに、思い出したように
新しい空気を肺にいれに
水面に顔を出します

そんな時、水面から顔を出した
私に、無理やり酸素ボンベを
咥えさせる人がたまにいます

まるでアザラシの呼吸時を狙う
ホッキョクグマです

だけども
すぐに嫌な顔したらいけません

こういうものは
たぶん、いつか、役に立つのです

例えば
水中で足をツった時

自分じゃどうしようもなく
曲げても伸ばしても治らず
沈む底しか見えなくなったとき

そういう時、この頂戴した
酸素が、肺に繋がるのです

そうやって図々しく
要素を蓄えているこの頃です

なんだか
カキ氷、食べたくなっちゃった






2013年6月26日水曜日

ラヂオ曜日


ラヂオは日曜日である。

休日は父と二人で、車で30分の祖父母の家へよく遊びに行った。

お互い少し気まずさを抱いて、父と娘、車中で何を話そう。そんな空気を和らげ、まぁいっかぁと思わせるのがラヂオだった。

チューニングはいつもJ-WAVE。
ピストン西沢がヤンワヤンワ言っている。たまに「家族団らん、マックへいこう」みたいなCMが流れて気まずい。さらにピストン西沢がシモネタを言うのでよけい気まずい(しかもこの件が長い)。

たまにユニクロに寄ったり、CMの影響かマックでお昼を食べたりした。お父ちゃんはでっかいハンバーガー、私は当時ハマっていたアップルパイ、ポテトは半分こする。そしてまるで儀式のように無言で食す。

祖父母の家に着くと、そこでもたらふくオヤツをすすめられ、満腹と眠たさの中また父と車で帰る。

帰りのラヂオは夕方のBGM。

家に着くと(珍しく)買って貰ったユニクロの袋をあけて、ウフフと思う。それでも父の前ではニヤニヤ出来なかった。だから「アリガト、ウ」と素っ気なく云うと夕飯まで部屋にこもった。それで翌日着てみたりする。


へんな日曜日。
お父ちゃんと娘っ子はぎこちない。
ラヂオは特別、日曜日である。

2013年6月20日木曜日

こーり、ください。


こーり、ください。

こーり、あげます。

小学生の頃、冷凍庫の製氷機がキライだった。ガラガラッといって勝手に氷を作ってくれるやつでないので、自分で型に水を入れてそれを三段分つくって冷凍庫で冷やす。そんで固まったら型をギシギシ歪ませてケースに氷を落とす。

夏休みは特に氷に手がのびる。するとケースの氷はすぐ底をつく。

もう無くなっちまったよ、とボヤきながら面倒くさがりな私は、また直ぐに作らないで済むように型一杯まで水を入れたが、それが余計に事を難しくしていた。

表面張力を発揮した型をソロソロと両手に持ち、ゆっくりと背の高い冷凍庫に足をむける。あ、いけない!扉を開けるの忘れてた!慌てて型を置こうとして床に水をぶちまける。あーぁ。

TAKE2。今度は扉をあけて冷凍庫に受け入れ体制をとらせ、それからまたソロリソロリと半回転し型を運ぶ。ついに扉を超えた!と思ったら、おやおや爪先立ちしないと押し込めない。プルプルと足先でふんばり冷凍庫を覗こうとすると、閉じかけた扉に腕が当たり、私は再び水を浴びるのだった。あーぁ。

ちっとも学習する姿勢を見せず、毎度同じ事を繰り返し、ついにすすんで氷を食べたいと思わなくなった、だって作らなきゃいけないから。

でももしかしたら、そんな事をわざとやっていたのかも知れないと今思う。あーぁ、またやっちゃった!へへへ、と笑ってるのが楽しかった。人から見たら何やってんの、シッカリしなさいよと思われるようなことが、私にとっては楽しいんだからしょうがない。言われることが、じゃなくてこっちの世界が勝手に楽しい。

しょーがないんだけど、いつまでも床を濡らすわけにはいかないので視点をかえる事にした。氷は見るもの、になった。グラスの中でもバケツの中でもアラレでも。そしたら、悪くないように思えて、いつか丁寧に氷を作るようになった。

今はもう背も届くし、片手で扉の開け閉めだって出来るけど、不器用な私だって嫌いじゃない。今できないこともオバァチャンになったら出来るのだろうか。生きてる中で、あと何百万回、あーぁ!と思うのだろう。小さい私はオバァチャンになっても氷をボリボリたしなむ、丈夫な歯が欲しいのである。