2013年12月19日木曜日

今日、泣いた理由




ちうしゃを受けてきた。
言葉にするのも嫌だ。もう、永遠に私はこの恐怖を払拭できないと思うと憂鬱で仕方がない。


「強制ではないけど、インフルエンザの予防接種を受けるなら、今月中なら補助金が出るから領収書もらってきてね」と店長に告げられた。

それは私にとって、十分すぎる脅迫だった。接客業上、自分の好き嫌いで受けないなんていうのは子供染みていて大人の暗黙の了解に反する事だから。これが平気な人々への不満と、自分の軟弱さに、私はキレそうになる。

前に受けたのは高校3年の受験シーズン。ドキドキしながら家から一番近い小児科へ行った。ずっと通っているし優しいかと思って。

でもダメだった。打たれたが最後、緊張はピークに達し、頭は真っ白。待合室のソファで、隣に座った小さな子供達が不思議そうに私の青白い顔を覗き込む。フラフラ消えそうになる意識をなんとか保って、徒歩5分で来た道のりを30分かけて這って帰った。

あの日のトラウマが拭い去れない。そして今朝、なんの根拠もなく今日ならイケる気がして強気を演じて医院へ向かった。雨の中「ひょっこりひょうたん島」や「おばけなんてないさ」を歌って励ましながら。

初めましての先生は、ちょっとダルそうなオジサン先生だった。「具合悪いところはない?」「はい、でもちうしゃが苦手です」「うん、まぁ少し腫れるけど大丈夫でしょう」

何が大丈夫なのか分からない。再びキレそうになる気持ちをおさえ、隣室に移ると担当はお姉さんだった。少しホッとしながらも部屋の隅に置かれたコアラのマーチの巨大ぬいぐるみに癒しを求めた。

私は痛いのは我慢できる。
でも、「刺している」という事実が受け入れられない。トゲが「刺さってしまった」のと「わざわざ刺している」のとは全然違う。拒絶反応が大警報を鳴らしてしまう。

そして刑は執行された。案の定、前回と同じように血の気が引いてゆく。緊張の糸を引っ張りすぎた。ただ前回と違ったのは、自分で予約を取った事と(笑)、「気持ち悪いので横にならせて下さい」とすぐに言えたことだ。成長したもんだ。

10分程横になってる間、悔しくて情けなくて思わず涙が出た。血圧まで測って頂き、苦笑する医院のオバチャンに頭を下げ下げ、領収書もちゃんともらってそこを後にした。「終わった〜…」という気持ちと「くっそ〜…」という気持ちが溢れてくる。

大人になるって大変だ。
ちうしゃを受けるくらいなら、インフルエンザにかかった方が遥かにいいと本気で思ってしまう。力のある催眠術師に「平気にな〜る」魔法でも掛けてもらう他ないのだろうか。

怖いことは、ついつい喧嘩口調になってしまって、よろしくない。

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