2016年2月14日日曜日

映画「キッチン(1989)」を云々



昨夜の帰路、雨で眼鏡が濡れた。「ぽち ぽち ぽ・・・。」思い出したように間をあけて落ちてくる 全く害のない小降りである。雨は私をご機嫌にした。春の匂いがしたから。翌、今日は小春日和だ。暖かい風が気持ちよくって、窓をあけて掃除洗濯をした。天気の影響力ってすごいなぁ、とつくづく思う。

こんな季節の感覚がよく描かれた、名著「キッチン(吉本ばなな著/1988)」。引っ越しのシーンは春先〜初夏に読みたくなる。カツ丼のシーンは寂しい寒い夜に読みたくなる。結局、一年通してふとした時に読みたくなるのだ。先日、今まで気になっていた映画版「キッチン(1989)」を勇気を出して観てみる事にした。原作がどのくらい表現されているのか、もしくはその違いを楽しめるか、不安で躊躇していたけれど…さていかがなものか。

観始めて主役二人が話し始めた途端 案の定「えぇ〜〜〜」と笑い声が漏れ出た。驚きのド下手だった。原作の台詞に添っているけれど、会話が棒読みで「じゃぁまた夢のような食事を作ってあげるね☆」なんて平気な顔して言えないよぉ。なんでもない日常の雰囲気を大切に描いているところが好きだったので、リアリティのない会話が残念。でも、植物たくさんの部屋やファッションは観ていて楽しいし、ミカゲ役の川原亜矢子さんの おっとりとした口調と あどけない笑顔が優しかった。雄一役の松田ケイジさんはピースの又吉に通ずる不器用さがあって なんだか放っとけない。何度も「もう観るのやめようかな」と思ったけれど「しょうがないなぁ」とぼやきながら最後まで観たら、なんとなーく良かった。なんといっても母(オカマ)役の橋爪功さんが魅惑的で、なんとかリモコンを投げ出さずに観られた。終始「キッチンの冷蔵庫」に始まるミカゲの心情よりも、バブル期の背景がメインで、ちょっと異質な雰囲気は楽しめたけれど 全体的に「ふーん」であった。

バブルを知らない私。もしバブル期を経験していたら今のように「本質を大切にする物づくり」や考え方、できたのかな。でもそんな最中でも吉本さんは穏やかな作品を仕上げているし、やっぱり本質は変わらないものかな。云々。

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